6時近くになっていたので、俺らは悩み箱を覗く。珍しく、紙がたくさん入っていた。
俺は、紙を手に部室に入る。そして、机に荷物を置くと、紙に書かれている文章を読んだ。
「『藤原さんは、この手紙を読んだ後生徒指導室に来なさい!』……生徒指導の先生からの手紙だ。俺、何かしたのかな?……ちょっと、行ってくる」
俺は秀に紙の束を渡し、生徒指導室に向かった。
生徒指導室の前に着き、俺はドアをノックした。そして、部屋に入る。
「やっぱり、この時間に来てくれたか」
男性で生徒指導部の主任、山田(やまだ)先生が物をつめた箱を手に持っていた。
「何してんの……?」
俺は呆れた顔をしながら、山田先生を見た。山田先生は「これを運ぶのを手伝ってくれないか?」と言って、生徒指導室の隅に置く。
俺は深いため息をつくと、山田先生が持っていたのと同じ箱を両手に持つ。そして、山田先生の近くまで歩いて、荷物を下ろした。この作業を繰り返し、全ての箱を運び終えるのに、5分はかかったと思う。
……先生、雑用係として俺を読んだのか?
「…お前さ」
山田先生が、急に口を開く。俺は「うん?」と首を傾げた。
「悩み解決隊を何で作ったんだ?」
「何でって……」と俺は少し返答を考える。
何で悩み解決隊を作ったんだっけ……。
「俺は、ただ……他人の悩みを減らしたいだけだよ」
「そっか」
「俺をここに呼んだのは、それだけの用?」
「違う。これからが本題」
山田先生は、ニヤリと笑う。
「何……?」と俺が問いかけると、山田先生は「悩み解決隊の存在を明かしても良いと思うんだ」と言った。
「あまり明かしたくは無い……」
「なぜ、明かしたくないんだ?」
「隠れて活動するのは、かっこいいでしょ?」
俺の口が弧を描く。山田先生は「困ったな……俺的には、明かして欲しいんだが」と言った。
「何で明かして欲しいの?やっぱり、顧問だから……?」
山田先生は川柳同好会の顧問をしてくれてて、国語担当の先生だ。



