俺は廊下で、あいつと遭遇した。「よう。生徒会長」と、自然に俺の口角が上がる。

「また、藤原くんですか……」

メガネをかけ直した生徒会長の鈴木(すずき)は俺を睨むように見た。

「固くなるなよ。同じ学年でしょ?」

俺が笑いかけると、鈴木が「やれやれ」と言いたそうに肩を落とす。

「分かっていませんね。生徒会長だから同じ学年でも固くするのですよ」

「何、訳の分からないことを……そうだ。ねぇ、何でウインドブレーカーは薄いの?」

俺が通うこの学校は、服装が指定されていた。これは着たらダメ!あれは着て良い!など色々。制服の上から着るものは、ウインドブレーカーだけと決められているんだ。

「中に服を着込めば良いだけの話ですよ。薄い理由は知りません」

「中に着込むって……中に着るものも限られてるじゃないですか?それに、中に服を着たくない人だっているでしょ。俺もそうだし……生地を厚くしてよ」

俺がそう言うと、鈴木は深いため息をついた。

「ダメです!」

「何で」と俺が聞くと、鈴木は「なぜ分からないのですか……」と呆れた顔を見せた。

「分かっていないのは、そっちだな」

俺は口で弧を描くと、「まぁ良い。また明日ね!」と言い残し、その場を去った。