ーーバッ!!


突然カーテンが開かれた。


「あ!こら!」

保健の先生の制止にも拘わらず
ユキくんが飛び込んでくる。


「モモ先輩。」

隣に立ったユキくん。


ちょっと緊張したような顔で
私を見つめる。


「なに?」


「僕にご褒美くれますか…?」


…また、出た"子犬"。


「いま何にも
あげるものないよ。」


私の答えにユキくんは
悪戯っぽく笑うと得意げに宣言した。


「先輩に、僕のお願い
聞いてもらうんです♪」


…え、お願いを聞く!?

イヤな予感しかしない。


と、思っていると。

「こら〜。天宮!出てきなさい。」

「いゃー!センパ〜イ!!」

ユキくんは、
叫びながら保健の先生に
つまみ出されて行った。


…ぷっ(笑)

変なやつ。


でも、お願いって
なんだったんだろう。


ちょっとだけ気になりながら
私は重い瞼を閉じた。