でも、と大和の手に力が入る。大和は華の方を向いた。顔が赤い。他の女の子といる時には、絶対に見せたことのない表情だ。華は少し戸惑う。

「華は守ろうと、助けようと誰よりも先に動く。自分のことはかえりみずで、正義感が強くて…。そんな女の子、生まれて初めて見た」

大和は華の耳に口を寄せ、言った。

「華のことが好きです。この気持ちは、本気だから…」

スキャンダル男から聞いた告白に、華は驚く。普段のように「嘘だ」と言えない。大和が本気だと察しているから。

その時、大和のクラスから悲鳴が上がる。華と大和は何も言わずに向かった。

教室では、一人の女子生徒が倒れていて、その周りに人が群がっている。ギンガムチェックの服を着ているので、接客として動いていた子だと華は一瞬でわかった。

「ちょっとどいて!」

華は人をかき分け、女子生徒に近づく。女子生徒はぐったりしていて、意識がないようだ。

「保健室の先生を呼んでくる」

大和がそう言い、走っていった。