おばけ屋敷は好評で、長い列ができている。満足している華の肩を、誰かが叩いた。振り向かなくても、華は肩を叩いたのが誰かわかる。

「大和、なんか用?」

「おばけ屋敷、どうかなって思ってさ」

大和のクラスはオシャレなカフェをしている。大和は接客の仕事をしているようで、ギンガムチェックの制服を着こなしている。

「よかったら、俺のクラスに遊びに来ない?ご馳走するよ?」

優しく言われ、華の気持ちが少しぐらつく。しかし華は首を横に振った。

「クラスの出し物があるから」

そう言う華の手を大和は優しく掴む。

「ちょっと!?」

「ちょっとだけだから!ね?」

大和に引っ張られるまま、華は大和のクラスへと連れていかれる。

「俺さ、女の子を落とすのって楽しいゲームとしか思ってなかったんだよね」

歩きながら大和が言う。

「女の子ってさ、イケメン見るだけで喜んでさ、優しくするだけであっさり好きになって、本当に愚かな生き物だなって思ってたんだよ。守りたいものがあっても誰かが守ってくれる、助けてくれるって思い込んでてさ…」