「相田さーん!今日も用事あるから掃除当番変わってー!」
「あ、あの」
「ありがとうー、じゃあねー!」
「・・・」

まただ。またこれだ。最近の放課後は毎日頼まれる。
そう考えながら、相田奏は、ほうきをとる。
いや、ちょっと待てよ。よく考えてみれば高校生活が始まってこの1ヶ月間、放課後掃除当番を頼まれたのは今回も含めて16回目だ。1回目は、まだなんとも思っていなかったが10回目となればさすがに気付く。私はどんだけ雑用係なんだと!
まぁ、そう思われるのも無理はない。この15年間生きてきて、1人も友達はできたことなんてない。もちろん彼氏なんて私にとっては、はるか彼方遠い存在と言っても過言ではない。だから、私はなるべくみんなから目立たないように、授業中は絶対に固定の位置から、動かないようにしている。
動くのは手だけ。まぁ、そんなことを毎日やっているせいで
クラスメイトからは「地蔵」と、命名されている。
奏は、ゴミ箱をとる。