「今、取り込み中だ。後にしてくれ。」
「ああ!須々木部長!探しましたよ。」
部長がそう返すが聞こえなかったのかドアが開き男が私の隣の所まで入ってきた。
頭を下げている人と泣いている人がいるこの状態でよくもまあズケズケと入ってこれたな!?
「これ、早急に渡したかったんです。明日の会議の資料です」
そう言って男は何食わぬ顔で部長に資料を手渡した。
「あ、ああ...」
部長が呆気にとられている...?
誰だろう?上司だろうか。
そう思ってチラッと頭を下げながら目線を男に向ける。
横顔だけど身長、鼻が高くて目がでかい。光に当たると茶色が目立つダークブラウンの髪。すらっと伸びた足。美少年。
うん。
美少年。
.....絶対年下じゃないの!!!
なんだこいつ。無神経にも程がある。あまりの空気の読めなささに部長も呆気にとられてるのね。ってかノックしたら返事を待ちなさいよ!社会人にもなって!
流石に新人って程若くはないけど。部長の知り合いってどこの部署のやつ?
すると彼は私の方を見てニコッと微笑んで
「ああ。すみません。お取り込み中でしたか。」
と言った。
な、なんだこいつーーー!!!
お取り込み中でしたかじゃねーよ!
部長!私も怒られるべきだけど!こいつも怒られるべきじゃないですか!というか私がこれをやったら部長は絶対こっ酷く怒りますよね!?
「すまないね。ちょっと色々あって。この資料、後で見ておくから。」
部長。なんだそのかしこまった態度。何モンなのよこいつ。
部長がそう男に返すと男はよろしくお願いしますと言ってドアの方を向いた。
そうだ。こいつのせいで緊張感途切れたけど、まだあの契約の件の話は終わっていない。
どうするか考えなきゃ。
スッと身構えて部長の方へまた目をむける。
すると...


