「先週、そのロボットの開発の代表者がそちらに伺った際分かった事だ。先方もその見積り書通りのつもりだったよ。途中で開発者が気付き謝罪したそうだ。」
「.....」
「その見積り書通りやるのはうちでは難しいと本来の数字で交渉したらしい、が1週間待ってくれと言われてな。.....今日電話があって元々うちと他社で２つ話があったそうで、うちとの契約を切って他社にすると言われた。」
「....大変申し訳ございません！」
深く頭を下げる。
先月決まったこの5000万の契約。
半年かかってようやく契約にこぎ着けた。
先方の担当者は気難しい人で、なかなか前向きには検討してくれなかった。
城内さんは毎日の様に通っていたし、私も何度も同行した。一課のみんなも大きい契約なだけに小さな事でも協力してくれた。
やっと取れた契約だっだ....。
それなのにこんな初歩的なミスを気づけないなんて....
「私の確認不足のせいです。本当申し訳ございません。」
「謝って済む問題じゃないんだよ。この件で先方だけでなく開発部の方もお怒りなんだよ。それにこの契約の為にどれだけの時間と金費やした？」
「申し訳ございません...」
「だから君が主任なのは嫌なんだ。人事会の時だってあんだけ反対したのに。ちょっと評価されてるからって調子にのってこれだ。どう責任どってくれるんだ！」
ギュッと拳を握りしめる。
どうする？どうすればこの状態を切り抜けられる？再契約をとってくる？
それとも....辞職する？ポストを辞退する？
再契約なんて、あの気難しい取り引き先が応じるとは思えない。というか部長は私が辞職しますというのを待ち望んでるに違いない。
辞職なんかしたくない。せっかくこの位置まで上り詰めたんだ。
私はまだ—...
コンコン
