この中に須々木部長がいる.....。
須々木部長は私の事を主任になる以前から嫌いらしく、なにかと嫌味ったらしくて苦手だった。



ドアを数秒見つめて深呼吸。

意を決してノックする。


「失礼します。桜田です。」

覚悟を決めてドアを開けると目に飛び込んで来たのは、椅子に座り書類を険しい顔で見つめる須々木部長と、黙って立って泣いている部下の城内さんだった。


お、終わった......。


「山下から部長がお呼びだと仰せつかったのですが、。」

緊張のあまり変な敬語が出てしまった。
決してふざけてはないんです!部長!

「この書類見てくれる?」

部長から手渡された書類を受け取る。それを見て城内さんはまた涙を流した。普段可愛いらしい顔が悲痛に歪んでる。

「こないだ取った5000万の契約の見積り書ですか.....。 .......え?」

「先程、電話があった。契約は白紙になった」

「っ....!」

「君もこの書類、目を通しているよね?」

「....はい。」

私の手元にあった見積り書とプレゼン資料。城内さんが作成し、私が目を通して了解を得た資料。
その資料はオプションと数量の数字が一桁とまではいかないが大幅にズレていた。