「だと思った。だから来週の木、金あけとけよ。」
「え、来週...あけとけって夜ですか?」
「全部」
「全部って、私普通に仕事ありますよ!」
専務の勤務状況は知らないけど、私みたいな一般社員は土日休みが基本だ。それを全部あけろって、有給を取るにしても来週だし急すぎる。
「和久井の作った資料を頭に入れるのは最低条件。あとは手っ取り早く開発者に直接聞く。」
ちょっとまて、なにをさっきから言ってるんだこの専務は。開発者に直接聞くって..主要なロボットの開発所って...確か...
「青森じゃないですか!」
そうだ。としれっと答える専務。
「いやいやいや、青森って!それに私、週末は会議あるし、会社行かないと!」
「それに関しては和久井が何とかしてくれる」
「なんとかって!!」
「それに俺のスケジュール的に来週しか無理。一応こんなんでも重役なんでね」
なんとも嫌味ったらしい口調。
傲慢さにわなわなしてると、後ろから和久井さんが口を挟んできた。
「専務のスケジュール調整大変だったので、どうか私からもお願いします。」
スッと一礼する和久井さん。
うう...和久井さんが頑張ったんだったら...って!
「専務じゃなくて、和久井さんが頑張ったんですね。」
あたかも自分が調節したかのように言っていたからてっきり専務がやったのかと思った。
専務は和久井は有能だからな〜などと言っている。
まずい.....
専務が小物にしか見えなくなってきた...。


