復習したい


男はどんどん前に進み、私の視界はどんどん前へと向かう。

そしてあろうことか、男が座ったのは議長であろう男性の1番近くだった。

「ん!?」

急いで会議を確認。
窓はない。出入り口は私と反対側。奴の座った所は私と同じ側で、議長の近くーー...

「あいつ、上座じゃないの...」

流石にぶつぶつ言い過ぎたのか、隣のシステム管理部の方がチラッとこちらを見たので、慌てて咳払いをして資料に目を通すふりをする。


それにしてもあいつ。席間違えにも程がある。自分の座席が分からなくても、ちょっと考えればそこの位置は無いって分かるでしょ。

今日の会議には確か常務が来るはず。あの温厚そうな常務はまだ見当たらない。あの男の席は間違えなく常務の席の筈だ。

あんたの席が1番前だとしても、どう考えても私と反対側よ!

そう思って私が座ってる側の1番前を見るがー




ーー人が、居る....?



....おかしい。本来なら常務の分で1席余ってるはず。

...誰だ。代表1人なのに2人よこしてきた部署は!

思考がパンクしてきた頃、議長がそれでは会議を始めますと声をかけた。