✳︎✳︎✳︎
午前の会議まであと10分ちょい。
私は会議室にいた。
あの男のおかげで資料は余裕を持って完成できた。余った時間で手伝って貰った資料にも目を通したが、非常に良くまとまって見やすかった。しかもご丁寧にメモと題されたものが混ざっており、私が事前に調べて渡した物とは別のデータが付け足されている。
「あんなの良くこんな短時間で調べられたわね....」
同じ部署でもないから業務内容も違うのに。
何処までも末恐ろしいやつだ。
各部署の代表らが集まるこの会議。大半が揃い始めた頃、なんとなく自分の資料から目を話し顔を上げると丁度扉が開いた。
「え....」
何人かの男性がぞろぞろと入る中、一人の男性に目が引かれる。
光に当たると茶色い髪。鼻筋の通った顔。
どこか幼さをまとった端正なーーーー少年...。
それは紛れもない今朝会った、あの男だ。
『今日中に答え合わせ出来るよ。』
なるほど。そういう事ね。
今朝の言葉の意味がやっと分かった。
空いてる座席を見渡す。
今居ないのは、人事部、総務部、システム管理部だった。
ーー人事部は今朝の感じ違うだろうから、総務部かしら。
予想通り、人事部と総務部の方に向かう。ー...が通り過ぎていった。
「ん?」
じゃあわざわざ遠回りして、システム管理部?
システム管理部は私の右隣だった。
隣は気まづいなと思っていた矢先、遅くなりましたと数人の男性が入ってくる。その一人は私の隣に座った。
「???」
ますます訳が分からなくなる。
もしかして司会?司会なのか?


