先輩彼氏✕後輩彼女

ヒューーー、バンッ!!

何発も何発も
打ち上げられていく。

座ることも忘れ
立ったままで空を見上げていた。

すごく綺麗なのに、
綺麗って言葉すら上手く出てこなかった。

ただ口をポカンと開けていた。

すると、
耳元で私を呼ぶ声がした。

顔を上げると
すぐそこに楓がいた。

「葉菜、好きだよ。」

「私もだよ。」

花火が上がり続ける中で
私達はキスをしていた。

ほんとに、
この瞬間は時間が止まったように静かになる。

あんなに大きな音を立てる
花火の中にいるのに。

いつもより長く、長くキスをした。

背中に触れた楓の大きな手のひら。

私もそっと抱き返す。

どれだけの間、
そうしていたんだろう。

花火はもう終わっていた。

「葉菜。」

唇を離し、楓の声がする。

少し震えた声だった。