先輩彼氏✕後輩彼女

少しだけ顔が上にあがった。

そこには優しい目をした楓がいた。

「ねぇ、いい?」

さっきまでの自信満々の目はどこにいったんだろ。

少し、不安そうな顔。

いいって、キス、するってことでいいんだよね。

楓ならいい。

わ、私のファーストキス。

楓にならあげてもいいと思える。

「うん。
いいよ。」

楓の吐息がかかるほど、
顔が近づいている。

私は急いで目を瞑った。

一瞬だけ、触れた唇。

柔らかくて、温かい。

優しすぎるほどの、
触れるだけのキスだった。

顎に触れていた楓の手が少し震えているのも感じる。

離れた途端に
私は楓に抱きついていた。

「え、葉菜?!」

耳元で聞こえる楓の声が心地いい。

「初めてだったから、
ビックリ、しちゃった。」