「良かった。
俺も初めてだったから。」

照れくさそうに笑った楓。

嘘ではないんだ。

「楓、彼女いたことあるんじゃないの?」

「いや、いたことない。
俺って女遊びしてそうに見えんの?」

見えます。

けど、即答したらまたデコピン食らいそう。

だから、少しの間
考えているフリをしてみた。

それから、

「見える、かなぁ?」

疑問形で答えてみた。

なのに、

「いたっ!」

「そのわざとらしさはなんだよ?」

ば、バレてたのかぁ。

「俺はずっと葉菜一筋だし。
他の女には興味なんか無い。」

「わ、私一筋ってどういうこと?」

だって、私達が会ったのは昨日が初めてでしょ?

「とにかく、
俺は葉菜だけを見てる。」

もう一度抱きしめられると思った時、
観覧車はかなり下まで来ていた。