「ほら、
グダグダ言ってないで、
行くぞ!」

私は言われるままに観覧車に乗せられた。

なんで私の街の駅には観覧車なんてあるんですかぁ。

恨めしそうに前だけを見る私を
ニッコニコした顔で見つめてくる楓。

何がそんなに楽しいのよ。

ただ高い所に連れてかれるだけじゃない。

ギリギリまで粘っても無駄だったし。

「葉菜、
そんな険しい顔したって、
可愛いだけだぞ?」

「もう何を言われてもわかんない。」

「そんの不貞腐れんなって。」

楓は立ち上がって私の隣に座った。

ゆ、揺れるってば!!

「そんなに怖いなら抱きしめてやる。」

有言実行の楓は、
ほんとうに私を抱きしめてきた。

は、初めてなんですけど!?

あれ、楓、いい匂いする。

なんか安心するなぁ。

「ほら、大人しくなった。」

「うん、これ、落ち着く。」