私はほとんど足を動かしていないはずなのに
教室の前まで来ていた。

1年生だから階段を登らなくてよかったからかな。

呑気なこと考えてる場合じゃない!

掴まれていたのは
二の腕から
また手のひらに戻っていた。

赤西先輩、どういう人なの?

全然わかんない。

何考えてるか分かんないし。

笑わない人かと思えば案外よく笑う。

急に俺様的な感じにもなる。

掴めない。

この人のこと全然掴めません!!

ここに来るまでの間、
沢山の女の子達の悲鳴と視線が胸に刺さっていたことは
言うまでもないよね。

まぁ、私に危害を加えられていないだけマシか。

もし、そんなことがあったら
お門違いもいいとこだよ。

私は無理矢理こうなっているんだからさ?

自分のクラスの席に着くまで私は開放されなかった。

クラスメイトからの視線もひそひそ声も多かった。

マジで、
後でなんかされないよね?!

「葉菜?」

「え、はい?!」