「なんでさ。
いいじゃん。
恥ずかしいの?」

ええ、恥ずかしいですとも!!

だって私、
男の人と手繋いだのなんて
お父さんくらいなんだから!

免疫も耐性もないんですよ。

黙ってコクコクと頷いてみせた、はずなのに。

なぜか繋いだまんまで、
私は引き摺られるように生徒玄関まで来ていた。

周りにいる女の子達から視線はというと、
予想通りの多さ。

それに突き刺さるように痛い。

例えじゃなくて、本気で背中が痛いんです。

てか、痛いのは背中だけじゃないよ。

やっと自分のクラスの下駄箱に着いて開放された。

急いで靴を履き替えて逃げる体勢を整えた。

よぉし、足は遅いけど、逃げ足だけは早いんだからね!

勢いよく駆け出すことに成功!

と、思ったのも束の間。

「葉菜、なに逃げようとしてんだよ。」

赤西先輩の手の中に
私の二の腕は既に捕まっていた。

な、なんでよぉ!!