医局に戻って受話器を取ったが、携帯からの方が早いと判断してポケットに入っている携帯から、美咲の父の連絡先を開き電話する。






三回コールすると、美咲の父が電話に出た。
田中からの連絡で、美咲の父は美咲のことだと判断したのか、慌てたように電話に出た。





『もしもし、どうかしましたか?』





焦った様子の美咲の父。
一度落ち着かせようと、ゆっくり口を開く。





『田中です。今お仕事の方はよろしかったですか?』






『は、はい。』






『昨日、脱水症状で体調を崩していましたので、一晩ICUで様子を見ていました。




ですが、私と彼女とで治療方針のことでもめてしまい、病院を飛び出してしまいまして。





彼女はうちのありさのいる自宅に行っていたので、すぐに見つけ出すことはできたのですが、脱水症状に熱中症にまでなってしまい、今病院で治療を受けたところです。






容態自体は回復してきていますので、ご心配なさらずにしてください。




後は彼女の意識が戻り次第、またご連絡します。』







そう言い終えると美咲の父の返事を待った。




『そうでしたか……。すいません、ご迷惑をおかけしてしまい。
美咲は何にヘソを曲げたんでしょうか?』






美咲の性格を熟知している父は、美咲が田中から何か注意を受けたのだとすぐに分かった。





『それについては、またお会いしたときにお話しますね。』






『分かりました。今九州に出張してますので、帰り次第そちらに伺います。美咲にもそう伝えてください。』





そう言い、田中と美咲の父は電話を切った。