叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい


そしてパパのいない夜の家……。






シーーーーーーン






夜遅くても帰ってくると思うのと、今日はもうパパはいない、と思うのとでは全然違う。
広い家のリビングに、一人ポツンっといることが、とても寂しく感じる。







ゴロゴロ……ギュー……







ん?





お腹が……





ゴロゴロ、言ってる……?





胃の辺りか、それとももう少し下かな……。







違和感のあるところを手でさする。
痛みはないけど、音の通りギュゥっと吸われるような後にプクッとお腹が張っているような…。まぁ、大したことはないだろうけど、先に痛み止めを飲んでおこうかな。






部屋に行って薬を探していると、携帯が鳴った。






『もしもし、父さんだけど。』







私はパパと呼んでるけど、自分を父さんと呼ぶパパ。






「あ、うん。」








そうだった、電話するって言ってたね。






『どうだ?体調は大丈夫か!?』






あは……、かなりの心配性。
違和感のあるお腹が気になるけど、これを言ったらすぐにでも飛んできてしまう……。
せっかく私が退院してから、与えてもらった仕事なのに、パパが今から帰ってきて仕事が台無しになるなんてことは絶対ダメ……。







「うん、大丈夫だよ。心配しないで。食後の薬も飲んでるしさ。」







『晩御飯は食べたか?』







「うん……。」







友達と外食したよ。なんて言ったら『今すぐ病院へ行け』って言われそうだから、黙っておく。







『明日も朝、連絡するからな。必ず出るんだぞ。』







「うん、分かった。
おやすみなさい。」






違和感がはっきりとしてきたことが心配になって、早々と電話を切り上げ、カバンから取り出した薬を急いで飲む。






そして、そのまま疲れて眠ってしまった。