叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい


翌朝、早く起きてパパの支度の手伝い。
もう一度パパからの注意事項を受けてから、家を出るパパを見送った。






玄関ドアを閉めるまで、私を見ているパパ。






パタン






はぁ…やっぱり過保護だな……。
私もこの歳で一人の夜を過ごしたことがないからしょうがないんだけど。
早く慣れないとな。




そして学校に行くと 数日前まで一人であったことが嘘かなのように、みんなが話しかけてくれた。






何がみんなの中であったのかは分からないけど…。








一昨日まで辛い毎日が、突然昨日から楽しい高校生活となり始めた。









そして放課後には、グループの中で一番私に積極的に話しかけてくれるララと二人で帰ることになった。
ほかの子たちは部活だったり居残りだったり。
今のところ私は部活もやっていなければ、幸い授業でもヘマをしていないので、居残りもない。





入院していた間の勉強は遅れをとっていたものの、友達がいなかったおかげで、毎日帰って机に向かうことができたので、居残りは今のところ免れている。







『ねぇ、私さ。』







「ん?」







『お腹空いた。クレープ食べたいんだけど。』







商店街に差し掛かったところで、ララが突然言い始めた。
思っていること、やりたいことをはっきりというのがララ。
有言即実行タイプのララ。




友達になって二日目だけど、2ヶ月間はクラスの子と喋ったことがなくても、教室中で繰り広げられる話を聞いたから、大抵みんながどんな子なのかは知っている。







そう言うとさっそく目の前のクレープ屋さんに行って、クレープを買い始めた。






『はい。』









「え?」






クレープ生地の中にチョコレートと生クリーム、そしてバナナがたっぷりと入ったクレープを私の前に差し出された。






『一つは多いからさ、先に食べなよ。』






「え?え?」






『いいっていいって!』







いや、あの……遠慮してるとか、そうじゃなくて。







でも、ララはものすごく見てるし、一枚は多いから食べれないって言ってる……。
私が食べなきゃ、ララも困るよね?







『いいのいいの、たくさん食べて。』






差し出されたクレープを手にして、恐る恐る一口食べた。






「お、美味しい!」







もしかしたら、生まれて初めて食べるかもしれない。甘いバナナにチョコレート、生クリームたっぷりのクレープ。







『でしょ!?せっかくならここで食べてっちゃう?うち、親が二人とも働いててどうせ晩御飯遅いし。』







え?








『美咲のところは帰ってすぐにご飯?』






「あ、いや。パパと二人暮らしなんだけど、今日は出張でいないの。」






『なーんだ!なら尚更、この辺のお店で食べようよ。』






うわ、どうしよ……。
だけど、初めて友達としてご飯に誘ってくれたララをこちらの都合で断るのも……。







どうしよう。
でも、昨日のコロッケも今食べたクレープも、お腹は痛くならないし。
異常があったらすぐにお腹痛くなるのに、出ないってことは大丈夫……だよね?






そうして私はララと二人で近くのファミレスに入っていった。