数日後……






退院の日。





先生はあれから私にいつも通り接してきた。






私は前にも増した先生への気持ちを抑えきれないこともあったけど、なんとかして退院の日となった。






『それじゃあ、来月の診察には必ず来るように。』






「はい。」







『美咲ちゃん、良く頑張ったね。これからどんどん良くなるからね。』






田中先生の見送りも受けて、パパと頭を下げて病院の外に出た。


















すると後ろから……







『ちょっと待って!』







振り返ると藤堂先生が追いかけてきた。






私は藤堂先生のいる方へ歩く。








息を切らしてやってきた藤堂先生。






『はぁはぁはぁ……






悪い……引き止めて。』






「どうしたんですか?」





不思議がる私に、また耳元で……






『はぁはぁ……ぇっと……、





必ず次の検診に来るんだぞ。』






「……はい。」







さっきも聞いたけど…。







『だから……早く治そうな。』







『……はい。』





どことなくいつもと違う優しい口調。






『その……早く大人になれよ。』






それって……






「いつから大人……?」






『成人するか……社会人になったら……だな。』






「はいっ。」






『それまで……待ってるから。』






今度は先生の顔をしっかり見た。





顔が真っ赤になっている……その姿に私まで恥ずかしくなって、下を向く。








『早く完治させて、大人になれよ。じゃなきゃ、俺がじぃさんになっちゃうから。』






今度は照れ隠しなのか、いつもの藤堂先生の口調に戻っていた。






「ハハッ。





分かりました。必ず、病気を治して、大人になって。先生のところにいきますね。」






そうだ。私はまだやることがある。






先生を好きになる前に、病気を治して、それから高校にも行って……たくさんいろんなことをしたら、就きたい仕事もして。






それから先生の所に行かなくちゃ。今はまだ叶わないけど……






それでも……






先生を





あなたを






見ていたい







あなたの隣へ行くまで、あなたのことを想い続けます。







だから…それまで待っていてね。













そうして、


私たちはその場を離れ、




私は家へ、




先生は病院へ





戻って行った。












『完』