『良かったな、薬が効いて。』






パパが帰ってからやってきた藤堂先生。





「はい……」





退院は嬉しいはずなのに、何だか寂しい。





『浮かない顔だな。』





「え……」





言いたいけど、言いにくい。面倒な奴と思われそうだし……。






どうせ、患者と医師の関係は変わりないよ。






結局、田中先生に囃し立てられて新しい薬をなんとか飲んでここまで来れたんだけど。





『言えよ。』





耳元で囁かれる。






ドキっ!





と胸が高鳴り、隣を見れば藤堂先生がめっちゃ真剣な顔でこっちを見ている。






う……言いにくい。






だけど、ここで言わなきゃ後悔するし。