『っと、今話したことが今後考えている治療方針だよ。』





一気に話し終えた田中先生が、話を止めて私の顔を確認する。




『……どうかな?』




どうもこうも、私に決定権はない。




「……はい。」




先生の言い方だと、これ以外に治療の方法はない。
そしたら、私が頷かなくてもこの薬に頼むしかない。





『この治療方針でいいってことかな?』





曖昧な私の返事に確認を込めて再び尋ねられる。





「……はい、そうです。」





本当に今までに色々なことをしてきて、移植することが最後の手段だと思っていたのに、本当に今説明のあった薬で治るのだろうか……。






不安を残してはいるものの、今までの治療に比べたらとても簡単なものなので、嫌な気持ちにはならない。




ただ、治るというかすかな希望に期待して、落胆した時を想像すると、期待しないようにしようと、最初から思ってしまって気分は乗らない。






『藤堂先生とお父さんも話が終わったらここに来るから。』





そういうと田中先生は集中治療室から出て行った。