『お呼び出してすいません。電話でお話したとおり、院内でのトラブルにより急遽検査となりました。』





会議室にて藤堂先生が美咲の父に説明を始めた。





『いえ、こちらこそ。一昨日大変なご迷惑をお掛けしたのに、再び申し訳ありません。』





お互いに頭を下げる。






『検査の結果なんですが、このようになりました。






いつもより著しく数値が上がり、腸内の状況はカメラで見てもいい状態ではありません。』





数値を見てすぐに今までにないほどの最悪の結果に、落胆する美咲の父。





『……はぁ、こんなのは今までに初めてですね……。』






『そうなんです。過去の結果から、ほとんど良くなっていない数値でしたが、それでも状態は安定していました。






しかし今回のことで、一気に悪化してしまい、正直今後の治療方針を悩んでおりました。』





もう治療方法がないのだと、藤堂先生の言葉で理解した美咲の父。






『しかしですね、一つだけ望みが……。』





えっ!?と顔を上げて藤堂先生見つめる。





『こちらの製薬会社が開発した薬なんですが……。





まだ治験段階なので、はっきりとした結果は出ていません。





しかし、この病院にも話があったということは、きっと何かの縁だと思います。






美咲ちゃんの今後の治療を、治験として新しい薬を使ってみるというのも一つの手だと思います。





どうでしょうか?』





検査結果の次に受け取った、新薬の説明について美咲の父が身を乗り出す。





何分か後に藤堂先生を見上げた父は、






『どうかよろしくお願いします。』






と頭を下げた。