『梶田先生も神山先生も、奥さんがいるわよ。』






さっきから、山田さんの言葉が頭の中を反芻して何も考えられないでいる。






奥さん……。






考えたこともなかったけど、いて当然かも。






だって若いったって、私より10歳以上は年上、15歳くらい違うのかな…結婚だってしてるだろうし。





二人とも指輪してないから、てっきり一人だと……。いても彼女だと思ってた。





あ、田中先生も奥さんいるけど指輪ないかも。






私はなんでもっと早くに、それに気付かなかったんだろう。あんなに梶田先生を見てきた(後ろからだけど)のに。





何もことは進んでないのに、全て一からになってしまった。






ただでさえ喉を通らない食事が、さらに通らない。
ナースステーションの人の動きさえも気にならないくらい、梶田先生のことが頭から離れない……。