『それが……、理由を言わないんです。』



看護師の山田の立つ前に、藤堂と田中が椅子に座って頭を悩ませている。





『山田さんにまで言わないとなると…どんなことなんだろうか。』




田中先生が呟く。




『あんなに帰りたいって言ってたのに。





僕、少し見てきます。』





と立ち上がったが、それを制するように




『いや、私が行くよ。



君がいきなり言ったら、構えてしまうだろうし。



私でも同じかも知れないが、それとなく聞いておく。』






藤堂も納得したのか、





『それではお願いします。』





と頭を下げる。
山田も頭を下げる。