私は、とある農業高校の女子生徒、長野星奈(ながのせいな)。みんなには＜せいな＞と呼ばれている。

＜？＞せいな〜、カラオケいこ〜♪
＜せいな＞ごめんっ。今日バイトだ…
＜？＞そっか〜…。じゃあまた今度ねっ！
カラオケに誘ってきたのは、入学してからずっと仲良しな暖ちゃん。

重い足を運ばせながら、17:30からのバイトに向かう。高校1年生の6月からバイトをしているアイスクリーム屋さんは、私の高校の生徒もよく利用している。

＜せいな＞お疲れ様で〜す！
＜店長＞せいなちゃん！おつかれ！今日は暇だろうから、恋バナでもしながら時間潰そう〜！

憂鬱なバイトも、基本的には暇だから、店長とよく恋バナをする。あっ、店長はもちろん女の人ね。

＜せいな＞今日も暇ですね〜。イケメンでもこないかな〜。
＜店長＞せいなちゃん彼氏いないんだっけ？早く作んないと高校生活終わっちゃうよ〜！
＜せいな＞余計なお世話ですっ！私だって彼氏の1人や2人……？！？！？！
何あの人。目合っちゃった。
ええええええ！超かっこいいじゃん！

＜店長＞何何！イケメンでもいた？！
＜せいな＞なんでもないですよ！
なんなんだろう…この変な気持ちは…。


まさかあの人が、私の高校生活の中で、大きな存在になる事をこの時は予想すらもしていなかった。