「えーなんでよー。
あながち間違えでもないですよね？」



首を傾げる池田にポカンと口を開ける矢崎。



「だって、ししょーが俺を情報屋として育ててくれたんじゃないですか〜。
もしかして忘れちゃいました？」



もう歳ですね〜とケラケラ腹を抱えて笑う池田。



確かに池田の言っていることは正しいのかもしれない。



昔、矢崎は情報を売りながらバーを経営していた。
表立って、「このバーには情報屋がいる。」という事実は広まってはいなかったが。
知る人ぞ知る、裏のお店が存在していた。



「お前が俺を脅すから仕方がなく育ててやったんだろ！」



歳でもなんでもねぇ！なんて怒鳴りながら、注文表を冷蔵庫に貼った。



立野たちが頼んだものだろう。



『なん、辞めちゃったの？情報屋。』



「特に理由はねぇな。
まぁ今どき情報屋つーのも廃れてんだろ？
自分のリスク負ってまで情報売らなくたって、ココ経営してるだけで生活できるからな。」