俺、男装少女だから。

『じゃ〜、しょうがない。
俺が折れるよ。
俺〝大人〟だから。』



「あ?」



大人を強調していえば思惑通り突っかかってきた。
こういう所が大人じゃないって言うんだ。



鼻で笑うと同時にカエデが口に手を添えてクスクスと小さく笑いだした。



『何に笑ってんのさ。』



「いや、ごめん。
那智にもこういう所あるんだなって。」



『はっ?』



こういう所とは?



「子供っぽいって言うの?
ずっと大人びてて俺たちとはどこか違うって思ってたからさ。
那智も俺も、皆同じだなって思って。」



なんだよ、それ。



「嬉しいよ、俺。」



『・・・』



ぎゅっと拳に力を込める。
視線を下にすれば白くなりプルプルと震えている。



この震えはきっと力を込めすぎているから。
そう思いたい。



「それに笑ってました!」



俺はずっと笑ってるじゃないか。