俺、男装少女だから。

チッ



思わず舌打ちしてしまった。



「まあまあ、那智。
お金も紅綺が、出す気でいるみたいだから。」



聞こえないくらい小さくやったつもりだったけど、カエデに聞こえていたらしい。



俺が抵抗した所でアイツは諦めないだろう。
なら取り敢えずは折れておいてやろう。



『はぁ、俺が折れてやるか。』



ヘラり、笑みを浮かべる。



反対側のロータリーから歩いて、5分経たずで目的地についた。



開店してからそんなに経っていないからか。
それとも平日だからか、人は全然いない。



『どっから見んの〜?』



皆、初めてきたショッピングセンターだろう。
どこに何があるか分かんのか?



「あ、地図持ってきますね!」



トオヤが指さした方を見るとモールの案内板があった。
その横に備え付けられているラックには館内案内図がささっている。



地図を片手に戻ってきたトオヤは、俺たちに見えるように地図を広げた。