俺、男装少女だから。

「あっ確かに。
そうですね、那智くんは女ですし・・・」



『ちょいちょい、勝手に話を進めるなよ。』



「もう諦めたほうがいい。」



頭痛くなってきた。
もう帰りたい。



駅はまだ人通りが多い。
走ってる学生はどんなに急いでも遅刻決定だろうけど、何人か開札に入っていく後ろ姿が見える。



「おい、那智!お前何色が好きなんだよ!!」



『声が大きいよ、コーキ。』



おかげで周りの視線は一瞬こっちに集まった。



「んで、何色なんだよ?」



少しだけ声量を下げた。



『特にないなぁ。』



基本、身につけるのは白か黒。



「ねぇのかよ、つまんねぇな。」



改札口を通り過ぎて、階段を降り切ると正面にショッピングセンターが見えた。



『ないもんはないんだもん。
しょうがないでしょうよ。』



だから諦めろ。と目で訴えてみる。



「しゃーねぇな!
俺らがお前に似合う色探してやるよ!!」