俺、男装少女だから。

シュンと肩を落としてトオヤはまた足を進めた。



「透也、那智のために夜食作ってたみたいだよ。」



カエデはそれだけ言って、トオヤの手伝いをすると去って行った。



『俺たちも行く?』



リンは、首を縦に動かして気ダルげに階段を降りていく。
俺もそのあとを追って階段を下がる。



下に行くに連れてコウキの声がはっきり聞こえてくる。
カエデやトオヤの声も聞こえてきてまだ2日しか経ってないのに仲良さそう。



リビングは、とてもいい匂いがした。
どこか懐かしい匂いに、幸せそうに笑う一家の映像が流れこむ。



あぁ、なんとも胸糞悪いこと思い出したな。



「那智。」



スっと俺の眉間に人差し指を置いた凛は、真っ直ぐ俺を見つめていた。
前を向いて、コチラを一切見ていなかったはずなのに、いつの間にかリンは向き合っている。



『ん?なぁに、ど〜したの??リン。』