俺が引いているスーツケースの転がる音と、教室から聞こえる賑やかな声が静かな廊下によく響く。



「美都はいつもそんな感じなのか?
さっきの特待代表の挨拶の時のイメージが強くて違和感あるな。」



『普段はこんなんですよ。
さっきのは真面目版の美都那智、みたいな?
ずっとあんなんじゃ、疲れちゃいますかんねー。』



視聴覚室ってたしか、4階。
めんどくせぇ。




重たいスーツケースを持ち上げて階段を1段飛ばしでのぼる。



「美都の荷物軽そうだな。
それだけか?」



『全然軽くないんですけど・・・
これだけですよ。』



スーツケースの中は、数枚のシャツとジーンズ。
バスタオルとパジャマ代わりのスウェット。
あとは、書類がたくさん入ったファイル類。