誰もがその線に気づいたはずなのに、隣のコイツだけは踏み込んできた。



隣に視線を移して、矢野の目を見ると、真っ直ぐに俺を見ていた。



ふーん、いいね。
俺、その瞳(め)好きだ。



『アメリカで昼間は普通に社会学やら、法学やら、経済学やらを学んで。
夜はリンくんと同じ、裏のお仕事。』



これで満足?と矢野の顔を覗き込むとうん、と一言言われた。



「俺も1ついいか?」



俺様主張の激しかった立野が、オズオズと控えめに口を開いた。



『お〜、どーぞ?』



「お前のその話し方?性格(キャラ)??
どうにかなんね〜の?」



『え〜、そりゃ酷いわ。素なのに?』



わざとらしく両手で顔を覆って何真似をしてみる。



「素じゃねぇだろ、ソレ!
・・・つーか、全然名前で呼んでねぇじゃねーかよ!呼べよ!!」




俺が何を言われても動じない事がわかったらしい。