母親はずっと子供と会うことを禁止されていた。
父親も仕事ばかりで家には帰らない日が多かった。



女の子が生まれたところから、施設に預けなかったところから
美都家の歯車は狂った。


そして10歳の誕生日に女の子が壊れた。


それは突然に。



父親が「次期頭首はお前でなくなった。もう必要ない。」そう言い放ったのだ。



自分は今までなんのために頑張ってきたのか。
この10年間、父親のためだけに生きてきたのに。
これからは何のために生きていけばいいのか。



10歳の誕生日を境に女の子は何もしなくなった。
歩くこと、食べること、話すこと、聞くことすべてシャットダウンした。



毎日のように顔を合わせていた父親は一度も現れなかった。
代わりにずっと会ってなかった母親と暮らすことになった。



女の子として母親と暮らして、凍り付いた心はすっかり温かくなり笑顔の絶えない子に育った。