「おい、那智。
お前帰んなくていいのか?もう朝だぞ!」



『ん~どこ?』



「どこ?じゃねーよ。」



仕事を終えてカウンターに突っ伏したまま寝てしまったみたいだ。



『うわ、やば。
帰んないと、そんじゃ。』



「おう、気をつけて帰んだぞ。」



もう7時。
学校は行く予定ないし、何の予定もないけど。



あいつら絶対うるさいだろうな。



急いで着替えて裏口から出ていつもより早く歩く。



制服を着た学生とサラリーマン。
怪しい人間はいない。



どんよりとしている空模様に心が不安になる。
何が嫌なことが起きそうだ。



フードをかぶる必要なんてないけど、自分の気持ちから目を背けるようにパーカーのフードを深く被って大通りを去る。