俺、男装少女だから。

バックもなかったから運ばれたのは俺だけか。
なんてことを考えながら暗い廊下を歩く。
リビングの光が漏れているから、きっと誰かしらはいるんだろう。



ドアを開ければ眩しくて目を細めた。



「おはよう、那智。」



目が慣れてきて目を開ければソファーにカエデとリン。
キッチンにはトオヤがいた。



『おはよ。
ケータイ知らない?』



「携帯ならそこ。」



『ありがとう。』



カエデが指さした先にはダイニングテーブル。
やっぱりそこだったか。



「あ、おはようございます。那智くん!」



ダイニングテーブルに近づくとトオヤは俺に気づいて、手を止めて笑った。



『おはよう。』



笑い返してから携帯を確認してみれば、やっぱり矢崎からの不在着信がたくさん。



1時間前からぴったり止んでいる。
いつもの矢崎なら俺が電話に出るまでかけ続けるのに、おかしい・・・。