俺、男装少女だから。

あーでももう無理、限界。



「那智?」



『・・・ん?』



閉じた瞼はもう開けたくない。
というか開かない。



おやすみ。



心の中で呟いて夢の世界に入る。
フワリ ポカリ と暖かくなるのを感じながら。





『ん。あれ?』



リビングで寝ていたはず・・・。
目が覚めた場所はソファーではなくベッドの上。



誰かが運んだのか。



ベッドから上半身だけを起こして時計に目をやる。



『やば!』



こんな余裕にボケっとしてる暇はなかった。
シフトの時間は過ぎている。



とりあえず連絡を、と携帯を探すが見当たらない。
ポケットにもベッドの上も机にもなかった。



どこだ?
確か学校帰ってきてリビングの机の上に置いた・・・。
ということは下か。



学校から帰ってきたまんま、ワイシャツで寝ていたから直ぐにバイトに行けるようにTシャツに着替えてリビングに向かう。