俺、男装少女だから。

『身体測定ってどんくらいで終わるんだろ〜？』



『いっしょーけんめーやったからねん。』



渡り廊下から見える大きな桜の木に目をやりながらボンヤリと呟いた。



もう桜が散り始めている。
絶え間なく花びらが落ちていく。



「身長と体重、視力、聴力の欄がある。
意外とすぐ終わると思うよ。」



「疲れちゃいましたか？」



『ん〜？いんや。
だいじょーぶ。』



眉を8の字にして顔を覗き混んできたトオヤにありがと、と言う。



さっきぶりの保健室の前は生徒がいなくて辺りはシンとしていた。
順調にことは進み、更衣室に戻って着替えて教室に顔を出すことなく寮に帰った。



「久しぶりに体動かしたな！」



「そうですね、明日筋肉痛になってそうです。」



「ボーッとしてるリンが1番記録高かったからビックリしたよ。」



「いつも体動かしてるから。」



リビングのソファーの上で体を丸める。



3時間後には家を出なければならない。
今寝たら中途半端でバイトに行くのが嫌になるな。