胸ポケットに入れていたソレを手のひらに転がす。



「ちゃんと付けて下さいね!
それがないと、特待生なのか遅刻した生徒なのか分からないですよ!!」



「もう那智の顔は知れ渡ってるんじゃないかな。」



「あ、まぁ。
言われてみれば確かに・・・そうですね。」



俺の顔を見てフムフムと納得している。



特待生であり新入生代表もといい成績最優秀者。
そして学園関係者なら知っているであろう俺の素性。
きっと、教師の間では話題になっているだろう。



「那智くん?」



トオヤの声にハッとする。



踏み進めていた足はいつの間にか止まっていた。



「那智?
具合悪いの??」



突然止まった俺に2人は心配して駆け寄ってきた。



前を歩いていたコウキとリンも異変に気がついたのかコチラを振り返って見ている。



『あ〜ちがう違う。
これ、歩きながら付けらんなくってさ〜。』