柏木くんと初めて話したのは、夏休み明けの始業式だった。



『熱あるんなら、保健室行きなよ』

『……はい?』



同じクラスでも、この日まで一度も話したことがなくて、
だから、急にそう声をかけられた時は本当にびっくりした。

確かに、あの時の私は朝から本調子じゃなかった。
実際に軽く熱もあったし。

でも、恥ずかしい話なのだけれど、皆勤賞を狙ってたんだ、私。
内申点もらえるかなって、思って。
だから無理をして学校に来た。



『ちょっと柏木、どしたの?急に』

『あぁ、新井。この人熱あるよ、多分』



そう言って指をさされた時、私の視界が揺れた。

みっちゃんと柏木くんが霞んで、ボヤけて、かと思ったら急に真っ暗になった。