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「あ、柏木だ」

「え、どこー?」



放課後、帰ろうと靴箱でローファーに履き替えようとしたところで、みっちゃんがそう言うから周りを見渡してみた。

だけど、柏木くんの姿はどこにも見当たらない。



「嘘だよ、ばーかばーか!」

「あいたっ、ちょっ、急になに……!?」



思いっきりよくスパーンと私の頭を叩いたみっちゃんは、呆れたようにため息をついた。



「あんた、柏木のこと好きなんでしょ」

「…………え!」

「顔に出てるのよ。あとアイツのこと見過ぎ」

「えぇ……っ」



まったく……なんて言いながら、みっちゃんはローファーに履き替える。

で、でも、どうして突然そんなことを言うの?