『……私のこと、意識してくれればいいのに』 あの時、私は彼に触れた。 好きだって思いながら。 だからきっと、私の気持ち、柏木くんにも伝わっているはずなんだ。 だけど、彼は応えられるはずがない。 ……私、もう柏木くんと前みたいに話せないのかな。 そんなの、嫌だなぁ。 数学の小テストより嫌だなぁ。 何でも言うこと聞くからさ、私のこと、嫌いにならないでほしい。 「……なんてね」 今さら自分の行動を後悔したって、もう遅いのにね。