ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ...
あたしの1日はいつもこの目覚ましから始まる。
「うぅん...あと5分...」
そう言って目覚ましを止めようとすると、先にあたしの手じゃない手が目覚ましを止める。
「おい葉月、もう20分だぞ」
「ふあぁあ...え、に、20分!?」
あたしはガバッと起き上がる。
そこには、これでもかってくらい冷たい顔の幼なじみ、聖がいた。
「なっ、なんでもっと早く起こしてくれないのっ!遅刻しちゃうじゃんっ!!」
「うるさい。早く支度しろバカ」
「聖、制服取ってー」
あたしはバカって言われたのを無視して支度を始める。
隣からすっごい大きなため息が聞こえたけど、気のせい気のせい!
「あ、朝ごはんどうしようっ」
「おばさんは?」
「お母さん昨日遅番だったから、まだ寝てる」
あたしのお母さんは看護師なので、たまに帰って来なかったりするときもある。
だけど、そんな時は聖が傍にいてくれたから、寂しいなんていうのは感じたことがなかったんだよな。
そんなことを考えながらあたしが着替え始めると聖がぎょっとした顔でこっちを見てくる。
「...なに?」
「お前、よく男の前で着がえられるよな」
「だって聖、あたしのこと女だっておもってないでしょ?」
そういうと聖は、なぜかわからないけど、悲しそうな怒ってるみたいな変な顔をした。
でも、すぐいつもの無表情にもどる。
「...あっそ」
あたしは変だなって思ったけど、そんなことをしてる間にもう家を出る時間になってしまっていたので、突っ込むことはできなかった。