人生、いやなことがあったら次はいいことがあるんじゃないの?
どん底まで落ちてしまえば、あとは上がるだけ。

なんてだれが言ったの?


そんなことない。
底なし沼みたいに、わたしはどんどん下がっていくことしかできない。



いま、人生の沼を歩いているようなもの。
そんなわたしは、上がろうともがけばもがくほど、暗い闇へと沈んでいくんだ。




「土曜日は彩華ちゃんと遊んでたんだってね」



月曜日の朝。
湊とふたりで学校へ向かって歩いていたら、いきなり洸が話しかけてきた。

かと思えば、あの子の話だった。

中学2年生の冬から、洸とは一緒に登下校をしなくなった。


だからこうして並んで歩くのはすごく久しぶり。



わたしの隣に湊と洸。



そう。
わたしの居場所はここなの。



湊と洸に挟まれた真ん中。