「湊、帰ろう」

「うん」



昇降口で待ってくれている湊に声をかける。

靴を履き替えてふたりで並んで歩く。



「明日吉井がケーキ作ってくるって。さっきラインきた」

「なにそれ。吉井くんってケーキ作れるの?」

「胃薬買っとこ」

「ははっ、湊ひどいね」



湊が気をつかっているのが変な感じ。

そんなことまでできるようになったんだ。


いままで気をつかうなんてしなかったのにね。




「ちょっと堤防寄ろうよ」

「……うん」


わたしの提案にワンテンポ遅れて頷く湊。