授業が始まっても席替えをしたあとじゃ、騒がしかったりしてまだざわついている。
そんな中で、隣の席の人に声をかけられてそちらを向いた。
わたしをじっと見つめる瞳。
このクラスになって半年経ったけど話したことはない。
いま初めて話すことになる。
というか、わたしは湊以外の人とあまり話さないから、同じクラスでも話したことない人はけっこうたくさんいる。
「お隣よろしく、山下さん」
「あ、よろしく……」
クラスメイトとの距離感がわからず、とりあえず当たり障りないように返す。
そんなわたしの隣の席の人、名前は……えっと……。
思い出せなくて黒板に書かれたままの席順を見る。
山下の隣。
「……吉井くん」
「あ、いま名前確認したでしょ?
オレの名前覚えてくれてなかったんだ。悲しいなぁ」