「うっ……ひっく……」
「泣くなって」
「だ、だってぇ……洸がもう、わたしといたくないって……」
泣き出すと止まらない。
堤防の階段で膝を抱えて涙を零す。
そんなわたしの頭をぎこちなく撫でてくれるのは幼なじみの湊。
わたしと洸と湊は幼なじみ。
湊とは誕生日が1日違いで、母親の病室が一緒でベッドは隣。
家まで隣だから、もう生まれる前からの縁。
そんな湊の前でこんなに思いっきり泣くのは別にめずらしいことではない。
呆れるほど泣き虫なわたしを、飽きずに何年も支えてくれている。
でも、洸が理由で泣くのはきっと初めてだった。
「最近の洸、わたしに冷たいのっ……」
「気のせいだろ」
「だって湊には普通だもん」
「俺、別に洸とそこまで仲良くないし」
幼なじみなのに仲良くないわけがない。