ぼくは今、君のために歌う。


“君に会いたい夏の夜 いま何をしているの

 目を開けて語ってよ ぼくの耳元で・・・”


とめどなく涙が溢れてくるせいで最後はもうほとんどが声になっていない。

君は今、星になってぼくを見守っている。

もう1度『好き』っていう言葉が聞きたい。

初めて出会ったのは、この場所で寂しそうな顔で立っていた。

誰も立ち止まらないようなぼくのストリートライブを出会ったその日からいつも聞いてくれていた。


『なんでいつも聞いてくれるの?』

『自分を表現できるなんてかっこいいから・・・』


目を合わさずにそう言ってくれた。このときには君の悩みなんて気付きもしなかった・・・。

有名新学校に通う君は朝から夜遅くまで机に向かう日々・・・。

いつしか笑顔さえ忘れていた・・・。

公園のベンチに座って2人だけのストーリートライブをしたとき、ぼくの心臓ははりさけそうなくらいバクバクいっていた。

歌い終わったときには涙を流しながらこう言ってくれた。


『あなたが好き・・・』


もう1度この言葉が聞きたいから、もう1度この歌をうたう。


“君に会いたい夏の夜 いま何をしているの

 目を開けて語ってよ ぼくの耳元で・・・”


誰もいないストリートライブ・・・。

今日も君だけが聞いてくれて、君のためにうたう。


いつしか君のことで涙を流すこともなくなるかもしれない。


いつしか君との思い出をなつかしいと思える日がくるかもしれない。


いつしかベンチに座ってうたった歌をうたえるかもしれない。


いつしか君に似た子と恋に落ちるかもしれない。


それまで、どうか見守ってください・・・。